大腸がん検診(便潜血検査)
大腸がん検診では、便潜血検査を実施しております。2日間にかけて便を採取して、便中の血液の有無を調べます。一般的に、人間ドックや企業検診などで行われています。検査の対象年齢は、40歳以上として1年に1回ペースで実施します。日本における大腸がんによる死亡率は最も高く、特に40歳を超えると罹患者が増え始めて50歳になると急増しています。
そのため、40歳以上の方は毎年大腸がん検診を受けることで、がんによる死亡率を下げることが可能です。
また、大腸がん罹患者の約30%以上が、便潜血検査がきっかけで大腸がんが見つかり、そのうちの約70%が早期がんと分かっています。一方で、便潜血検査陽性の方が大腸カメラ検査などの精密検査を受けているのは、約60%というのが現状です。適切な治療を早期に開始するためにも、便潜血陽性を指摘されましたら大腸カメラ検査など精密検査を受けるようにしましょう。
便潜血検査とは
便を採取して、便中の血液の有無を調べます。ヒトヘモグロビンへの抗体を用いるので、ヒトの潜血のみに反応し、潜血の有無を検出できます。また、胃や食道など上部消化管は胃酸や腸液などで変性するため、便潜血検査は大腸からの出血だけを検出します。便潜血検査陽性になるのは約5~10%で、そのうちがん発見率は0.1~0.2%とされます。
これは、大腸がん検診を受けた1,000人のうち、50~100人が便潜血陽性で、そのうち1~2人程度で大腸がんが見つかるという割合です。便潜血検査では、肉眼では見えない微量の出血を検出できます。
便潜血検査と大腸がんの発見率
便潜血検査陽性の方が大腸カメラ検査を行った場合、約50%で大腸ポリープが見つかり、約6%で早期大腸がん、約4%で進行大腸がんが見つかっています。
また、便潜血2回法では、早期がんの約50%、進行がんの約90%の発見が可能です。 このため、下痢や便秘、腹痛、便が細いなど気になる症状がある場合は、大腸カメラ検査または便潜血2回法を受けることをお勧めしております。
便潜血陽性、陰性とは?
便潜血検査は、便中の血液の有無を調べるため、ポリープやがんがなくても大腸粘膜の炎症や痔などでも陽性判定が出ることがあります。逆に、陰性でも早期がんや進行がんが隠れていることもあるため、「便潜血陰性=大腸がんではない」は成り立ちません。このため、当院の便潜血検査では2回法を導入しています。
より正確な便潜血検査で
より正確な結果のために
便潜血検査で正確な判定を得るために、2回便の採取を行って検査する2回法を行っています。別日に採取することで、より正確な結果を得られます。採取する便の量が少なすぎても、多すぎても正確な検査ができないため、採便容器に記載されている検査説明を熟読してから採取を行ってください。
また、血中のヘモグロビンは1週間経つと半分の量に減ってしまいます。このため、提出日に近いタイミングで採取する必要があります。便潜血検査で正確な結果を得るためには、便採取のタイミングにご注意ください。
文責:さっぽろ白石内科消化器クリニック 院長 高橋祥