胃がん

胃について

口から食道を通って入ってきた食べ物が蓄えられる場所が胃です。食道と十二指腸の間にあり、食べ物をまずは蓄えて、その後消化が行われます。胃壁の粘膜層には、粘膜下層・固有筋層・漿膜下層・漿膜が層になっていて、胃液を分泌する細胞があります。胃が収縮して食べ物をこね、胃液を混ぜながらドロドロにして、ゆっくりと十二指腸へ送り出します。
これを蠕動運動と言います。胃には、強力な胃酸や消化酵素がありますが、胃粘膜は粘液によって守られているため溶かされることはありません。ただし、何らかの異常によって保護機能が衰えると、胃粘膜に炎症や潰瘍などが起こります。

胃がんとは

胃粘膜細胞ががん化して、増殖または大きくなって胃がんを発症します。がんが大きくなると、粘膜下層とさらにその下にも拡大し、胃の外側にまで浸潤していきます。病気が進行すると、血液やリンパ液で運ばれて他の部位に転移します。胃がんは、初期段階での自覚症状はほとんどありません。
また、スキルス胃がんは胃壁を分厚くしながら増殖するため胃カメラ検査を行っても表面の変化はなかなか発見しにくいという特徴があります。このため、早期に胃がんを見つけるには、定期的に胃カメラ検査を受けることが非常に重要となります。当院では、患者さんの負担や苦痛を軽減しながら受けて頂ける胃カメラ検査を実施しております。胃がんが気になる方や不安がある方は、早めに当院までご相談ください。

胃がんの症状

胃がんの初期段階では、自覚できる症状がほとんどありません。さらに病気が進行しても症状は軽度であることが多く、なかなか気付けないことがあります。また、上腹部の不快症状や苦痛症状は、市販薬で一時的に改善できるため、胃がんの発見が遅れることもあります。このため、胃に何らかの症状が長く続く場合は、当院までご相談ください。
なお、以下の症状がある場合は、なるべく早めに当院までご相談ください。

胃がんの原因

慢性的に胃が炎症を起こすと、胃炎が進行し萎縮性胃炎を引き起こします。慢性的な胃粘膜の炎症は、胃がんを発症するリスクを高めます。主に、ピロリ菌感染や過剰な喫煙、塩分の大量摂取などが要因となります。
ピロリ菌感染陽性の場合は、除菌治療を行うことで将来の胃がん発症のリスクを軽減できます。ただし、ピロリ菌除菌治療を行っても、胃がんの発症リスクがなくなったわけではありません。
このため、ピロリ菌除菌治療後も、定期的に胃カメラ検査を受けることが重要となります。

胃がんの検査

まずは問診を行います。その後、必要に応じて胃カメラ検査を行って確定診断をします。胃がんと診断された場合は、胃がんの進行度を確認しながら治療方針を決めていきます。

確定診断するための検査

胃がんを確定診断するためには、胃カメラ検査が不可欠です。胃カメラ検査では、胃粘膜を直接確認し、些細な病変や早期胃がんを発見できます。なお、検査中に疑わしい病変を見つけた場合は、その場で組織の一部を採取して生検に出し、確定診断をしていきます。当院の胃カメラ検査では、特殊光を用いたLCIによる精度の高い検査が可能です。通常では発見できない微細な病変も発見しやすくなっています。
また、造影剤を使ったX線検査もありますが、X線検査では微細ながんを発見するのは困難で、ある程度大きくなったがんしか見つけられません。このため、ピロリ菌感染など胃がんのリスクが高い方へは初めから胃カメラ検査を受けることをお勧めしております。

胃がんの進行度を調べる
検査

胃がんの確定診断がくだされたら、超音波検査・超音波内視鏡検査・CT検査・MRI検査・PET検査などを行い、がんの深度や周囲への浸潤度合、多臓器やリンパ節への転移などを確認します。これらの検査が必要な場合、高度医療機関をご紹介させていただきます。

胃がんの治療

早期胃がんの場合は内視鏡による治療ができますが、すでに進行している胃がんの場合は手術治療を行います。切除手術が不可能な場合は、化学療法を検討します。これらの処置が必要な場合、高度医療機関をご紹介させていただきます。

早期胃がん

内視鏡による治療が可能です。切除の際の侵襲が少ないため、患者さんのご負担も軽減できます。術後の回復が早く、日常生活への支障がほとんどないまま完治が見込めます。表層にとどまる病変に対しては内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行います。
病変が大きい場合でも一括して切除できます。
また、切除した組織も病理検査に出すことができます。ESDの場合は穿孔や出血を起こすリスクが高いため、高い技術力と豊富な経験を有した医師による手術が必須です。

進行胃がん

進行胃がんの場合は、外科手術による治療を行います。病状に応じて、胃の一部のみ切除するのか、胃上部の切除か、胃の2/3の切除か、全摘出かなど、最適な施術方法を選択していきます。進行胃がんによる周囲への浸潤がある場合は、開腹手術が必要となります。


文責:さっぽろ白石内科消化器クリニック 院長 高橋祥

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